朝日新聞朝刊連載の「折々のことば~鷲田清一」が好きだ。
一昨日の文中の
「自らの摂理に従って生き通したいもの」が
凛凛と私の中で鳴り響きつづける。
*
砂漠で孤独なのは、人間だけだ。―――長田弘
光が拡散するばかり、「どこにも動く影がない」アリゾナの砂漠に、
天を仰いで転々と、そして堂々と立ち続け、
静かに老いてゆく幾百本のサグアロ・サボテン。
人もまた企んだり飾ったり饒舌になったりせず、
寂しさや覚束なさへの不安に身を苛むこともなく、
自らの「摂理」に従って生き通したいもの。
詩「ゆっくりと老いていく」(詩集『世界はうつくしいと』)
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自らの摂理――
見上げる空に、
足元の野の花に、
そして自分の体に、
それを訊く。