「マラソンを走ったら、
その先、自分がしたいこと、
何でもできるような気がするの」
映画「マイライフ」の中のこの台詞が、
37年前、初マラソンのスタートに私を立たせた。
ゴールして腑に落ちた。
この言葉の意味。
本当に自分がしたいことなら、
コツコツ積み重ねられる。
だから、できないことはない、
そういうことかと。
途中であきらめてしまうのであれば、
その夢はその程度でしかなかったのだ。
それから、「思い続けられる夢は実現する」と思って生きてきた。
初マラソンからもらった人生の宝ものだ。
その後、そのマラソンにはまり、
マラソンでの夢を追いかけ、
ある時から外側に現れる結果を求めすぎ
体を壊し、走れなくなった。
そこから、もう速さはどうでもいい。
もう一度、気持ちよく走りたい、
できるならば
体を痛めることなく生涯走り続けたい。
だから、
それができる動きをみつけたい…
それを見つけたら、きっと多くのランナーの役に立つはずだ。
その一念で四半世紀続けてきた探究の末、辿り着いた
「らせん流ウォーク&ラン」
この動きに、
そこへのアプローチの仕方に秘められた可能性の大きさに密かに気づき、
2年半前、ワークショップをはじめた。
そこにいらしてくださる方はランナーだけでなく、
水泳、自転車など走る以外の競技を楽しんでいる方、
音楽家の方、
ヨガや太極拳などで真理を求めている方、
あちこち体を痛めて歩くのが辛い方、
心と体のバランスを崩されている方、
人の体と心のケアをするプロの方、
運動、特に走るのがキライだけど気持ちいいだけならやってみたい方など、
その顔触れの多彩さは、私の予想をはるかに超えていた。
その方たちが、和やかにまじりあいながら、
ヒトにとって大切なものを感じていきながら
皆が穏やかな笑顔になっていく。
楽しかった。
そして、その方たちの中から、
これを必要としている人、伝えたい人が
それぞれが関わっている分野に大勢いる、
だから、「自分も指導できるようになりたい」の声をいただき、
その力に押されて準備を進めてきた。
そして明日がその初日。
奇しくも、11月の第3日曜日。
この日は
今はなくなってしまったけれど、
1年に1回、自分の発表会としていた東京国際女子マラソンの日。
練習量を落とし、身心にエネルギーを溜めていくレース前1週間で、
それまでに蓄えてきたものが静かに熟成されていく。
その味わいが好きだった。
それに近い感覚が今ある、
ワクワクとドキドキが交差しつつ、
思いは静かだ。
あきらめられずに、
だからあきらめずに願っていれば、
そして、
それが自然の理に沿っているものであれば、
大きな流れが応援してくれる、
今、その流れを感じる。
あとは、目の前のこの扉を自分の両手で開くだけ。
もう一度、気持ちよく走りたいと願って歩き始めた道は、
当時の予想をはるかに超え
“普遍”につながる世界に私を連れてきた。
この先は、大いなるものに導かれていこう。