今日は、雛祭り。
今年は例年よりずいぶん早めにお雛さまを出せたので、
「いいお顔だな~」って眺める機会が多く、
ほっこりしています。
我が家のお雛さまは、私が幼稚園生の時に両親に買ってもらったもの。
ガラスケースに全メンツ集合の団地サイズだったけれど、
今は、お雛さまとお内裏さまと金屏風と雛あられのお皿だけを出しています。
本当にいいお顔をしているんです。
眺めていると自然に微笑みがこぼれてくるんです。
きっとこのお顔を描いた方も微笑みながら描いたのだろうと想い、
それがまた微笑み心に火をつけます。
微笑み心には、静かな伝染力があるんですね。
大事にしたいです。
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私が大好きな詩人・長田弘さんと、同じく大好きな画家いせひでこさんの絵本『幼い子は微笑む』(講談社)にこんな一節がありました。
「ふっと目を開けて、
人の顔をじーっと見つめることも覚えた。
そして、幼い子は微笑んだ。
この世で人が最初に覚える
ことばでないことばが、微笑だ。
人を人たらしめる、古い古い原初のことば。
人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
幼いときの、何一つ覚えてもいない、
ほんのわずかなあいだだけだったのだと思う。」
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歩いているとき、足裏で大地を感じ、
大地からのエネルギーが背骨を通って立ち上がり、
天に抜ける瞬間、私の体は毎度のように微笑みます。
この微笑は、言葉を覚える以前の体からの言葉のようにも感じてます。
歩くことは覚えることでなく、自然に起きることだから。
だからこそ、幼い子の微笑みがまわりに伝染するように、
そのような体の微笑もまわりに伝染するのではと思うのです。
ヒトが本来の歩きを取り戻すほどに、世界は穏やかに微笑みだす。
きっとそのはずです。